2017年3月24日 2809号

 

オリックス生命 独自の「直販」戦略展開㊤

 

「3層構造」基盤をバネに高生産性

 

しゃしん かたおかしゃちょう

コンサーブアドバイザー。オリックス生命が新たに立ち上げた直販チャネルだ。既存のカタカナ系生保のコンサルティングプランナーとどこが違い、どのようなスタートを切ったのか。また、4月からの料率改定が生保マーケットにどのような影響を与えるか。片岡一則社長(=写真)は2月23日、「現状と今後の展望」を語った。2回にわたりレポートする。

 

 

固定給制なので使命感を訴える

 

コンサーブアドバイザー構想を昨年2月に明らかにした時、片岡社長は、①新契約成績基準未達成による解職の制度は導入しない②固定給制度の導入などを強調し、カタカナ系生保のモデルとひと味違う直販モデルの創出を熱く語った。

 

報酬体系は、月例の固定給と業績賞与から成り、業績賞与はコミッションのように業績に直接リンクして比例的に増減はしない。「給与モデルはマキシマムでも一千数百万円でしかない。収入でモチベーションを高められない。必然的に仕事の意義、使命感をひたすら訴え、共感する人を採用するプロセスになっている」

 

採用は昨年7月にスタートして、1期生28名が入社。採用は3カ月サイクルで10月に2期生、今年1月に3期生が入社して、現在は4月に向けての採用を進めている。

 

1期生は3カ月間の初期研修(OJT1カ月含む)を受け、昨年10月から営業活動を開始した。3期生までの採用実績は、応募者は3227名、入社は63名で、採用率は約2%。男女の内訳は男性42名、女性21名。第二新卒者(23歳〜26歳)も17名いる。

 

通販契約者30万人

 

営業活動は4カ月目からスタートするが、その前に通販チャネルの既契約者を訪問をする「ならし運転」を行う。通販チャネルの既契約者は約30万人おり、これまでのアフタフォローは「電話と紙」だけだった。

 

コンサーブアドバイザーを立ち上げたことで、「よろしければサポートさせていただきます」と連絡をして、保全活動を担わせ、「信頼関係を築き、紹介の出る関係作り」が狙い。

コンサーブアドバイザーの活動ソースには3つあり、その一つが通販既契約者の訪問。

 

残りの二つは①通販の資料請求者を基礎マーケットとして付与し、そこから将来の紹介プールを作る②自力開拓、紹介や飛び込みなど。

オリックス生命のチャネル戦略では、代理店、通販、銀行窓販、それに最新のコンサーブアドバイザーーを加え「オムニチャネル」を展開。通販の新契約保険料占率は10%を占め、毎月3万〜5万の資料請求がある。このリーズ(見込み)は加入意向が高く、成約率は50%〜60%と高い。未加入者の理由は健康問題が多い。

 

また、通販の資料請求者の8%から10%が「誰れか来て欲しい」という。理由は「資料を見たけどよく分からない」「もっと細かいことが聞きたい」などで、「人が説明することで納得度が高まり、通販での手続き完結と比べると件数、新契約年換算保険料が2倍に拡大する。パイロットテストで実証されている」と片岡社長。

通販での手続きが完結する場合、件数は1件で新契約年換算保険料は7万円という。

 

コンサーブアドバイザーには最初、資料請求を100件から300件配布して、コンサーブアドバイザーは請求者との関係を深めて顧客化に全力を挙げる。資料請求者を付与する期間は2年間だけで、3年後には完全に独り立ちをすることになる。

 

資料請求者からの挙績は2割

 

では、実績はどうだろうか。1期生の昨年10月〜12月の業績は、3カ月平均で一人当たり新契約年間保険料は105万円、件数は10・8件。当初の計画が75・9万円なので、4割近くアップしている。

 

また、105万円のうち、資料請求者からのものが20%で、多いコンサーブアドバイザーで30%になる。残りは通販既契約マーケットと自力開拓の白地マーケットから生まれている。

 

この生産性を既存チャネルと比べると、イメージ的に営業職員の3倍、カタカナ系生保のコンサルティングプランナーの8割のレベルになるという。

1月から営業活動を開始した2期生の1月実績は120万円〜130万円とよりアップ。昨年10月から延べ5カ月の稼働率も100%だ。

ただ、課題もある。一人当たり新契約年間保険料の分布はこうなっている。

 

①100万円以上=9人

②75万円以上〜100万円未満=8人

③ 50万円以上〜75万円未満= 7人

④25万円以上〜50万円未満= 1人

⑤25万円未満=3人

残念ながらローパフォマーが4人出ている。

 

信頼関係づくりだけが弱点

 

4人とも面談数は多い。「活動量と成果は比例する」というのが業界常識だったが、そのうち2人の活動の特長を片岡社長こう説明する。

 

Aさん=コンサルティングに優れ、プレゼンテーションもきちんとでき、クロージングもロープレ上ではできている。問題は知らない人と信頼関係を作るのが苦手で、たくさんの人と会っているが関係が深くならない。

 

Bさん=信頼関係を構築するところからクロージング直前まで全てできるが、クロージングができない。優しい人柄でお客さまの意向を最優先してしまう。

 

このような状態に陥ることを、片岡社長は「一人完結型セールス」の弱点と指摘する。一人完結型セールスはカタカナ系生保のコンサルティングプランナーのスタイルで、見込客を見つけ、プランを作り、プレゼンテーションをしてクロージングすることができないと生き残れない。

 

しかし、見込客を開拓できずに辞めてしまうケースがいちばん多い。「その後のプロセスができても入口が狭いと成約数が少なくなり、辞めざるを得ない。これが一人完結型セールスの弱点だった」。

 

その解決策として、2017年度の新たなビジネスモデルとし「セミナーセリング」に取り組む。固定給職種のコンサーブアドバイザーでは「真の意味でチームワークができると」と自信を見せる。

 

三井住友海上「1DAY保険」100万件突破

 

大学生中心に22歳以下が半数

スマホは1タップで契約手続き

 

「1DAY保険」が100万件を突破 ── 親の車を借りて運転したり、旅行時に友だちの車を運転することの多い、若年層のカーライフに合わせた「借りた車専用の自動車保険」で、三井住友海上が2015年10月に発売。正式名称は「24時間単位型自動車運転者保険」。24時間単位・保険料500円から加入できるのが特長。

 

保険期間は1日から最大7日間まで。契約タイプは車両補償の有無や特約によって、3つのプラン(保険料500円、1500円、1800円)がある。

 

当初は、セブンイレブンのマルチコピー機による販売からスタートしたが、より手軽に加入できるようにスマホ向けの専用アプリ「1DAY保険アプリ」も提供。「1DAY保険アプリ」を起動すると1タップで契約手続きに進める。

 

毎月順調に契約件数を伸ばし、2月11日に累計で100万件を突破した。発売から1年4カ月という短期間だった。契約傾向は次のとおり。

 

①特に夏休みや春休みなどのレジャーシーズンには大幅増加する。

②年齢別の契約実績は29歳以下が7割を超え、特に22歳以下が半数を占める。

③大学生を中心とした若年層に高いニーズがある。

④「2回目割引」を約60%が複数回契約するなどリピーター率が高い。

 

「1DAY保険マイレージ割引」も用意している。「1DAY保険」を無事故で所定の回数(5回、10回、20回)以上契約して、無事故の場合、自動車保険を初めて契約するときに保険料が最大20%割引の対象になる。

 

すでに5回以上契約した人は約5万人にのぼり、「今後も割引対象者の増加が見込める」という。

 

また、東京海上日動の1日自動車保険「ちょいのり保険」も1月末で累計申込件数が300万件を突破した。発売は2012年1月。今回、使いやすさと商品の魅力をアップするために商品改定を行う。4月以降に保険責任を開始する契約が対象になる。

 

商品改定のポイントは①業界初の被保険者の複数人設定(追加保険料定額方式)②補償期間の24時間化③車両補償ありプランの新設④対物超過修理費用等補償特約の自動セット、など。

 

2面 少額短期保険協会

 

日本少額短期保険協会

「ミニ保険の日」にアイデア競う

 

少短協会は3月2日、「少額短期保険(ミニ保険)の日」を記念して、イベントを開催。消費者からアイデアを募集した「おもしろミニ保険大賞コンテスト受賞作品」が発表され、最優秀賞は「baby保険」だった。妊婦のみが加入できる。

 

3面 リスク管理

 

リスクのお話 22回目

措置入院解除のリスク

深澤リスク文化研究所 所長 深澤 茂樹

 

昨年7月、障害施設で入所者19人が死亡する事件が起き、社会に衝撃を与えた。犯人は「措置入院」を解除された後だったけに、措置入院をめぐる問題点が議論を呼んだ。患者の退院後の支援計画づくりも求められる。

 

4〜5面 保険需要

 

個人家計の保険需要を探る

⑧ニーズ別に見た生命保険需要の強さ

ブレークオンスルー 代表 小山 浩一

 

問題は、ライフサイクル型リスク認知をどう取り上げるか。係数的には最も低く、死亡保障の本来の必要性が表れるリスク認知でありながら、アプローチは相当難しい状態となっていると思われます。

 

 

6面 法人営業

 

またぞろ再燃したGHT論争

結論は出ない解約時の2処理

奥田 雅也

 

この解約時の処理はどちらが正しいのかは分かりません。「どちらの処理が課税当局の是認が受けられるのか?」という議論が出てきますが、ここで私が考えるポイントはもう一つあります……。

 

7面 育成力アップ

 

ボトムアップで攻める法人保険

新任機関長の心得

OfficeSIMADU 代表 島津 悟

 

私の失敗談聞き、会計事務所の職員がそれをヒントに顧問先を巡回しながら一声かければ、感謝される事例も出てくるからです。「お役に立てた」という実感は保険を身近なものにします。

 

8〜9面 活動確認

 

ランクアップチェックシート

介護・就業不能保障の提案術を磨く

 

新たなニーズとしてクローズアップされている就業不能について、介護保障も含めて確認。介護と就業不能という継続したアプローチが難しいリスクを認識し、新たな提案に結びつけていこう。

 

10面 新商品

 

三井生命

「定期保険-Mプラスケア」他

 

経営者向けの「定期保険-M」に新特約「介護サポート年金特約」を付加した商品。要介護状態による就業不能リスクへ対応するなど、企業経営者へ「保障の充実」と「利便性の向上」を測った。

 

 

 

制作 株式会社保険社 保険情報・ネットソリューション・チーム

住所 〒166-0003 東京都杉並区高円寺南4-2-8 サンユースビル2 4階

電話 03-3317-0391

 

 

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