2016年10月7日 2786号紙面から

チューリッヒ生命

生活保障保険「くらすプラス」発売

 

分かりやすい「確定年金」で差別化

5大疾病で入院か在宅療養で

 

チューリッヒ生命は9月1日、生活保障保険「くらすプラス」を発売。8月25日に新商品発表会を行った。「くらすプラス」は、新しいマーケットとして新規参入が相次ぐ「就業不能保険」。アフラックも7月19日、就労所得保障保険「給与サポート保険」として発売し、ガン保険、医療保険に続く「第三の保険」と位置づける。

 

各社とも名称を変えているが、チューリッヒ生命が「生活保障保険」とした理由を、野口俊哉チーフ・マーケティング・プロポジション・オフィサーはこう述べた。

 

「90年代に損保で就業不能保険を団体に販売したが、言葉が分かりにくいといわれた。支払要件にもいろいろな条件があり、分かりにくさに輪をかけていた。そこで、個人向けに保障内容が簡単に分かるように生活保障保険にした」

 

競合他社として、アフラックのほかに住友生命「未来デザイン 1up」、東海日動あんしん生命「家計保障定期保険(就業不能保障プラン)」、日立キャピタル損保「リビングエール」、ライフネット生命「働く人の保険2」などが競い合っている。

 

では、チューリッヒ生命の最大の差別化ポイントはどこか。野口オフィサーは就業不能保険のポイントとして、設計の自由度、精神疾病の保障、確定年金、保険料水準、免責日数などを挙げ、こう強調する。

 

「他社では『就業不能年金』と言って、途中で働けるまでに回復すると、支給を止められるケースがある。商品開発でどうすればお客さまが納得できるか、をいちばんに考えた。その答えが確定年金。一度所定の状態になったら、ずっとある一定期間払い続ける。これが最大のキーポイントになる」

 

支払事由は次のとおり。

①ガン、脳卒中、急性心筋梗塞、肝硬変、慢性腎不全

②病気はケガによる所定の高度障害状態

③ケガによる所定の身体障害状態

④うつ病などの所定のストレス性疾患

 

疾病では「5大疾病」にフォーカスする。「7大疾病」のケースでは高血圧や糖尿病が含まれるが、「インシュリンや血圧降下剤などによって働けるケースもある。チューリッヒ生命のリスク上の観点もあり、これは除いた」と野口オフィサー。

 

5大疾病では、入院または医師の指示で在宅療養が60日を超えると、年金が支払われる。在宅療養のチェックでは「診断書が必要になり、必ず調査をして状態を確認してから、支払いを総合的に判断する。不公平が生じないように工夫したい」。ストレス性疾患では「入院が60日を超える」として、入院に限定した。

 

メインターゲットは30代〜40代。専業主婦(主夫)も加入でき、これによってターゲットの拡大につなげる。

 

35歳で4000円、月10万円の年金

 

年金額は月10万円。支払期間は2年(45歳以上のみ)、3年、5年、10年。最高1200万円の「確定年金」を受け取ることができる。年金受け取り期間中に働ける状態に戻っても継続して年金は受け取れる。

 

保険料は、支払期間5年(総額600万円)の場合、男性35歳が月払いで3990円、45歳は6390円、50歳で8335円。保険料と年金額の関係について、野口オフィサーはこう説明する。

 

「保険料が1万円を超えるのは難しい。なぜなら、お客さまは優先順位を付けて加入し、死亡保障、医療保障が先になるケースが多い。保険料はこのぐらいの設定が妥当だろう。したがって、年金額は10万円しか選べない。年金額は自由設定にしたほうがよい、という社内意見もあったが、できるだけ簡単にすることを優先した。10万円あれば最低限の生活保障になるだろう」

 

今回の生活保障保険「くらすプラス」は1年ぶりの新商品になり、昨年7月に発売した「終身医療保険プレミアDX」のリパッケージ型で、プレミアシリーズとはコンセプトが異なる。

 

なお、「くらすプラス」には終身の入院保障(主契約)があり、入院61日目から180日目まで保障(1入院120日限度、通算1095日限度、免責60日)。就業不能状態に一度該当すると、就業不能保障にかかる保険料の払い込みは不要になるが、入院保障にかかる保険料は払い込むケースがある。

 

保険料が3000円〜4000円の場合、入院保障の部分は300円〜400円になる。

 

金融機関  住宅ローン支払に対応

 

Q 就業不能保障を特約にしているが単品は考えなかったのか。

野口 未知のマーケットなので、終身医療保険プレミアDXを上手く活用し、若干変更した形で、認可の範囲で対応できると考えた。ほぼ独立した形での主契約と特約であり、見せ方としてあまり形にこだわらず、パッケージ商品の形になった。

 

Q 支払事由に4つあるが、4つの支払いの割合は。

野口 調べていないが、長い間働けなくなるケースは、患者調査の統計で見る以上に精神疾患の割合は多い。損保時代の経験(団体マーケット)では事務職に販売すると、精神疾患がものすごく多い。それ以外で一番多いのは「7大疾病」。それと交通事故、不慮の事故がある。「くらすプラス」は大事な部分はほとんどカバーできている。

 

Q どのチャネルで販売するのか。

野口 ネットは金融機関を最初のターゲットに考えていた。他社もネットで販売しているし、金融機関には住宅ローンマーケットがある。しかし、代理店に事前に話を聞くと、いい反応があった。最初はチャネルを絞ろうとしたが、結果的に全チャネルで販売することになった。

 

Q 就業不能保障マーケットが注目されているが、手応えはどうか。

野口 米国では個人マーケットで5000億円規模、団体は1兆5000億円といわれている。米国の福利厚生プランには就業不能保障がすべて付いている。

日本でも損保が団体向けに結構販売しているが、個人向けはあまり広がっていない。大手生保がこのマーケットに参入して、お客さまにも浸透してくると、純粋な商品競争に入っていける。そうなるとチューリッヒ生命にも商機はある。市場としてどの程度まで広がるかは、保険会社の努力次第だろう。

 

 

2面 保険流通

 

ABuSA代表理事

大内 政彦

 

現在、保険、特に生命保険の販売が難しくなっている状況下にあって、保険代理店の生き残っていくためのカギは何か?一般社団法人資産形成ビジネス支援協会の大内政彦代表理事に聞く。

 

3面 社会保障

 

来年1月から「個人型DC」はこう活用できる

社会保険労務士 遠藤 忠彦

 

2016年5月に確定拠出年金法の改正案が国会で成立した。

この法案により、2017年1月から個人型DCに20歳以上60歳未満の国民年金や厚生年金の加入者のほとんどが加入できる。

具体的には、いままで加入できなかった専業主婦や公務員、企業年金を持つ企業に勤めている会社員が個人型DCに加入できるようになる。個人年金、NISAなどに比べて、厚い税制優遇が与えられており、老後資金積立を目的とした公的年金の上乗せとして第一に考える制度となった。本号では、個人型DC制度の概要と活用を考える。

 

◇ ◆ ◇

Q 個人型DCとは。

A DC制度には企業型と個人型の2種類がある。前者は、企業が主に拠出し、規約に定めれば従業員も拠出できる(マッチング拠出という)。後者は、企業年金のない会社に勤める従業員や自営業者などが加入できる。掛け金は、自分自身で拠出する。

個人型の加入者は25・7万人(2016年3月末)で企業型の加入者数548・2万人に比べて少なく、加入対象者が4000万人もいるにもかかわらず、加入率はわずか1%にも満たない。

その原因は、加入対象者へのPR不足である。企業年金を持たない企業の従業員は、加入を企業から勧められることは少ない。給与から掛け金を天引きする事務作業などが発生するから、あえて勧めない。

 

販売を担う運営管理機関(金融機関)も制度や手続きの複雑さから、従業員教育に消極的である。個人型DCを運営する国民年金基金連合会も、本業が国民年金基金の勧誘、運営なので、積極的とはいえない。

 

今回の法改正では、広報(PR)を義務付けられたぐらいである。さらに、加入できる人が、この制度の有利さ、仕組みを理解していないことである。自ら学んで自らアクションを起こす必要がある。

 

20歳から60歳までのほとんどの人が対象となることから、より身近に感じられるように愛称募集が行われ「iDeCo(イデコ)」に決まった。英語名の単語から取ったという。これから様々な場で目にするだろう。

 

専業主婦も受取時には優遇

 

Q なぜ個人型DCが注目されているのか。他の制度と比較してのメリットは。

A 今回の法改正により、転職時や専業主婦になったときにDC制度への拠出を継続でき、老後資金形成に役立つ。労使合意があり、規約に定めれば企業型DCと個人型DCの両方に加入できるようになる。

 

まず、税制優遇が最大の魅力である。拠出限度額に上限があるが、掛け金は所得控除となる。加入者が自営業者なのか、会社員かでも企業年金があるかどうかで限度額が異なる。

たとえば、自営業者の月額6・8万円(国民年金基金の掛け金と合計して)から、企業年金に加入している人または公務員の月額1・2万円まで多岐にわたる。

 

どのくらいの積立額になるか。公務員が加入したとすると、手数料を考慮せず、年間の掛け金14万4000円、年利2%とすると10年で約160万円、20年で約354万円、40年で約879万円となる。年末調整の際に戻る税金額は税率20%とすると、年2万8800円となる。さらに住民税の節減にもなる。

 

その他に、運用益も非課税である。通常、預金利息や株式などの配当金、売買した時の利益には、20・315%の税金がかかるがそれがない。受け取り時も、一時金であれば、加入期間を勤続期間とみなして退職所得控除となり、年金であれば、公的年金等控除が使える。

運用では、定期預金や確定利率の保険商品の他に投資信託を選べるが、運用手数料が個人で購入する場合に比べて割安というメリットがある。

 

専業主婦は所得がないので税制優遇のメリットが受けられないのではという質問をよく受ける。たしかに所得控除のメリットは受けられないが、運用時非課税や受け取り時の優遇は受けられる。(以下本紙でご覧下さい)

 

4面 中小企業開拓

 

中小企業の事業承継問題をサポート

事業承継における「許認可」対策

行政書士 石井 亜由美

 

事業承継において許認可の存続は非常に大事な問題となってきます。許認可を維持するのか、しないのかを明確にし、対策を立てておかないと後で困ることになるケースも多いようです。

 

5面 法人営業

 

法人FP塾 熊本・大分復興支援研修会

「法人FPの教科書」執筆者によるPD

 

井上「法人向けの生保販売の理論」が果たして日本にあるのだろうか、という思いが根底にあります。例えば、必要保障金額の計算ひとつにしても、本当にお粗末な計算方法しかありません……」

 

6面 法人営業

 

舞台裏のレッスン帳

社長の退職金準備で贈与の効果アップ

 

「社長の退職金積み立てがお役に立ってきます」。保険料を一部損金で落としながら貯められる生命保険は、自社株の評価を下げる効果があり、同じ金額でも多めの株式を贈与できる可能性があります。

 

 

8〜9面 FP販売

 

お客様に「是非会いたい!」と喜ばれる

トーク・スクリプトを組み立てる

第8回 住宅ローンの審査ポイント FP 髙橋成壽

 

融資が下りても返済可能かどうかは別問題。返済比率の上限は35〜40%と言われますが、実際は返済比率30%でも負担感が大きいはずです。目いっぱい住宅ローンを借りることにも問題があるのです。

 

10面 新商品

 

ネオファースト生命

「カラダ革命」

 

7大生活習慣病で入院した場合、給付金100万円を1年に1回、通算10回まで支払う。最大の特長は、更新時の保険料を健康年齢で決定すること。また、70歳更新時には「終身保険」に移行する。

 

11面 自転車保険

 

au損保

「70才からの自転車向け保険 Bycle S」

 

加入年齢範囲は70歳〜89歳というシニア層が対象。加入年齢の上限を74歳から89歳に引き上げた。個人賠償責任は最大2億円を補償し、被害事故の場合は法律相談費用や弁護士費用なども補償する。

 

[トピックス]

 

●介護付老人ホームに 入居者紹介を開始

第一生命は9月8日、SOMPOケアネクストが運営する介護付有料老人ホームに対する「入居者紹介制度」を開始した。同制度のフローは次のとおり。

①営業職員が専用リーフレットなどを配布。

②営業職員は入居や詳細な説明を希望する人から「介護相談依頼書」を提出してもらう。

③「介護相談依頼書」をSOMPOケアネクストに取り次ぐ。

④SOMPOケアネクストの担当者が詳細な情報を説明する。

SOMPOケアネクストは、損保ジャパン日本興亜ホールディングスの介護事業子会社。第一生命は2001年、損保ジャパン日本興亜と包括業務提携を行い、さまざまな商品・サービスを相互に提供。

第一生命は新たに「介護付有料老人ホーム入居者紹介制度」を導入し、SOMPOケアネクストが運営する介護付有料老人ホームに対する紹介・取次業務を開始した。

「約4・3万人の営業職員を通じて、契約者だけでなく広くお客さまに提供する。今後も保険事業にとどまらず、安心・安全。健康に資する商品・サービスを提供したい」という。

 

●保有契約が40万件突破

メディケア生命は、保有件数が9月に40万件を突破した。2010年6月に営業を開始してから、6年6カ月で達成した。今年2月には給付金請求手続きにおける「簡易取り扱い制度」を改定し、外来手術給付金も対象にした。

さらに5月にはメディフィットA(2014年4月発売)に「3大疾病入院無制限給付特則」「7大生活習慣病入院無制限給付特則」を新設。保険料の一部引き下げも実施。

 

●保有契約が60万件突破

アニコム損保は、ペット保険「どうぶつ健保」の保有契約が60万件を突破。被保険者は、全国6004の対応病院の窓口で「どうぶつ健康保険証」を提示すると、自己負担額を支払うだけで保険金請求手続きが完了する。

今後、健康・予防に関する調査・研究を進め、ペットと飼い主双方が健康で長生きできるサービスを提供していく。

 

●子会社化

オリックス生命は、「オリックス保険コンサルテイング」の全株式を取得して、子会社化する。株式譲渡は10月1日。

オリックス保険コンサルテイングは、オリックスの100%出資会社として設立され、2012年11月から生損保26社と乗り合い、営業を開始。現在の拠点は全国に30拠点。

 

 

 

 

制作 株式会社保険社 保険情報・ネットソリューション・チーム

住所 〒166-0003 東京都杉並区高円寺南4-2-8 サンユースビル2 4階

電話 03-3317-0391

 

 

○掲載内容の複写などにつきまして

 当ウェブサイトのコンテンツを無断で複写等することはできません。

○ 掲載内容につきまして

 当ウェブサイトの掲載内容は精査をしていますが、これを保証するものではありません。

 ○個人情報の取り扱いにつきまして

 当ウェブサイトを通じて取得した個人情報は厳重に管理し、当社からの連絡・通知以外の用途以外には使用しません。

 

→プライバシーポリシーについて

 Copyright 2016 Hokensha. All Rights Reserved.