第1話(前編)

 

生命保険募集の趨勢を決するのは、営業職員の営業力もさることながら、営業職員を採用・育成し、戦力化していく「拠点の力」だろう。採用力と育成力を兼ね備え、常に組織拡大を図る盤石の拠点の存在こそが生命保険の市場の深耕を支えている。本紙では現役ベテラン優績拠点長に協力してもらい、これまで成功してきた採用と育成を中心とした実戦的な拠点経営の中で得てきたノウハウを紹介していく。

 

継続的な採用活動が成果へ

 

今回は、これまでの経験から学んできた採用方法、たとえば新契約と併せて営業職員や組織長からどう採用の協力を引き出すか、あるいは現在の採用環境、実施して効果のあった初期教育や育成プログラム、さらに営業職員の退社防止に効果のあった対応ノウハウなどについて語ってもらった。

吉田功所長(43=仮名)が語った具体的な採用活動について紹介しよう。

 

採用見込みを探す具体的な活動方法は、次の4点。

 

①契約内容確認活動の際に、その家族の中から採用対象者を探す。

②採用チラシの戸別投函

③在籍営業職員による電話での〝友呼び〟活動

④既契約者のうち、30〜40歳代の女性を対象にした一斉DMの実施

 

オーソドックスな方法だが、とにかく継続して行うことが成功のポイント。よく言われることだが既契約者は自分が加入している生命保険会社と保険商品の一番の理解者のはずだ。有力な採用見込者であるといえるだろう。

 

たとえば、契約内容確認活動の機会に家族状況に変わりがないかどうかを確認するのは鉄則だ。新契約の見込み情報と併せて採用情報も収集する。既契約者を訪問することによって、次のような話が出れば採用のチャンスとなる。

 

「子育てがひと段落したので外で働いてみたい」

「住宅ローンや子どもの教育費の足しにしたいので働きたい」

「結婚退職で中断している厚生年金の積み立てを再開したい」

「お姑さんと同居することになって毎日息が詰まりそうだ」

 

また営業職員の周辺には、たとえ既契約者ではなくても、このような希望や悩みを抱えている人がいるかもしれない。「友だちとか知り合いにこんな人いない? いたら紹介してよ」と依頼できるような協力者を日頃から見つけておくことも大事だ。

 

育成強化し二極化から脱却を

 

生命保険の販売は、どんなに時代が変化し、それに伴ってさまざまな生命保険商品や販売チャネルが登場し台頭してきたとしても、主流となるのはこれまでも、そしてこれからも「対面販売」。それも女性の営業職員が中心になるだろう。

 

生命保険への加入は強制ではなく任意である。つまり他の商品の購入と変わらない。しかも生命保険には形がない。さらに日常的にどれほど多く生活上のさまざまな危険にさらされていたとしても、いつ顕在化するか分からない。だから決して安くはないその掛金(保険料)に応じた効能や機能を普段、さらに加入時であっても実感することができない。

 

このような商品特性を持つ生命保険には、だから対面販売が最も適しているといえるのだ。世帯加入率が世界一の生命保険普及率を誇る日本の生命保険市場だが、特に戦後〝日本の隅々まで〟生命保険が普及した背景には、営業職員による地道な募集(営業)活動があったからに他ならない。

 

その営業職員を採用、育成し、さらに戦力化してマーケットに送り出す。生命保険契約の生産拠点となっているのが生命保険会社が全国津々浦々に配置している営業部や営業所、支部といった〝拠点〟だ。

 

採用力と育成力を兼ね備え、常に組織を拡大していく盤石の営業拠点の存在こそが生命保険会社と生命保険という〝仕組み〟の普及を支えている。

 

少子高齢社会とほとんど絶望的な財政難の中で、国が運営する社会保障制度は抜本的な見直しを迫られている。国民は将来にわたり自助努力を、さらに社会保険料のさらなる負担増を求められ、併せて給付の削減を覚悟しなくてはならない。

 

それだけに、これまでも死亡、医療、年金、介護保障について、公的社会保障制度を補完してきた生活保障産業としての生命保険の役割はさらに以前にも増して重要になってくるだろう。

 

したがって、これまで生命保険の普及を担ってきた営業職員と、採用育成をしてきた拠点としての営業所の役割もまた、これまで以上に重視されるはずだ。

 

その理由として営業職員の機能には、単に生命保険の販売だけでなく、東日本大震災でも実証されたように、既契約者の生存確認や保険金や給付金を迅速かつ正確に受取人の手元に届ける上で大きな力を発揮したことがある。

 

対面販売を基調とする営業職員チャネルは、単に販売チャネルにとどまらず、アフターフォローチャネル、サービスチャネルとしても極めて有効である。

 

生命保険営業には幅広い関連知識が求められ、さらに高度な専門知識を要求されることもあり、販売は他の消費材に比べて難易度が高く、しかも肉体的にも精神的にも大きな負担をもたらすことが少なくない。

 

営業職員の採用が難しい理由もこのあたりに起因するのだろうし、営業職員チャネルには以前から大量増員→大量脱落、すなわち「ターン・オーバー」といった問題が常に顕在化していた。

 

これは現在でも、「営業職員の勤続年数別の構成は新人・育成層とベテラン層に二極化した状況にあり、中堅層の強化・拡大が依然として重要な課題となっている」(生保労連第45回定期大会議案『経過報告・運動方針』)ことからもわかる。

 

つまり、新人育成がいかに難しいということだが、それに成功さえすれば、定着しベテランの域に達するまで在籍することになる。

組織をより大きくするためには採用・育成こそが何よりの鍵になるが、どうすれば有為なかつ将来性のある人材であることを見抜き、採用できるのか、そしてどうすれば採用した新人営業職員を優績者に育成できるか。さらにどうすれば、マネジャーまで育てられるのか。

 

組織拡大のための採用と育成…。このことは営業所経営にとって長く先人から受け継がれ、かつ多くの拠点長がこのテーマで試行錯誤を重ねてきた永遠のテーマであるといえる。

 

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